株主手帳連載【Web3 ウェブスリー】

私が執筆している投資月刊誌「株主手帳」の2022年6月号掲載原稿を編集部のご協力を頂いてこちらにも共有させていただいています!

スマホでSNSを使い、ECモールで買い物をする生活はすっかり私たちの暮らしに根付き、なくてはならないものになった今日この頃。その世界からさらに一歩進んだWeb3(ウェブスリー)は新たな「情報革命」と言われています。今月はWeb3とその関連銘柄をご紹介します。

プラットフォーマーが立場を失う未来?!

圧倒的なプラットフォームとしての力を源泉に、GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック<現メタ>、アマゾン、マイクロソフト)の拡大路線は止まりません。この5社だけで東京証券取引所全体の時価総額の1.5倍に相当(2022年3月末時点)し、多くの日本人がGAFAMのサービスに触れずに生活をするのは考えにくい世界になりました。

でもそんな巨大なプラットフォーマーが、立場を失うことになる未来があるとしたら? プラットフォーマーに集中する経済を覆し、分権型の世界への移行が期待されるのがWeb3なのです。

新たな市場創出を前に、日本企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。

Web3はブロックチェーン技術を背景に、主に3つのサービスから成り立ちます。NFT(非代替性トークン)、メタバース(仮想空間)、DeFi(分散型金融)です。

コンテンツ事業が強みの日本企業にチャンス

NFTは「替えが利かない唯一無二のトークン」です。コピー&ペーストが簡単にできる情報技術の世界で、NFTが画期的と言われるのはそのためです。Zホールディングス(4689)傘下のLINEはこの春、NFTマーケットプレースを開始しました。アイドルやキャラクターの「本物」「唯一無二」のお墨付きのあるトークンを売り買いするマーケットが始まるのです。それまで勝手に画像をコピーされ使われても収益にならなかったのが当たり前でした。しかしこの流れは多くのキャラクターを創出し、世界的に認知されている日本のコンテンツ業界が新たな収益機会を確保するチャンスにつながるでしょう。楽天(4755)、メルカリ(4385)も自社の既存のマーケットプレースを強みに、NFTマーケットを始める準備を進めています。

ゲームで広がるメタバース

メタバースはネット上のビジネス空間にも広がりつつありますが、最も身近なのがゲームでしょう。任天堂(7974)が世界で3000万本以上売り上げた「あつまれどうぶつの森」のヒットでより身近な存在となった、バーチャルコミュニティ上でアバターを通じてコミュニケーションを楽しむ世界です。

スマホゲーム大手のGREE(3632)は、今後2,3年で100億円をメタバースに投資するとし、バーチャルライフ配信アプリ「REALITY」を展開しています。この世界では、利用者がアバターの姿で仮想空間を生き、利用者はスマホ一台で始められます。またそのコミュニティで作られたデジタルアセットを売り買いすることにより、ユーザーはゲームを楽しむだけでなくお金儲けもできるようになったのです。 同じくブロックチェーンゲームへの本格参入を表明したスクウェア・エニックス(9684)、メタバースを準備しているバンダイナムコホールディグス(7832)、NFT取引所を運営し、累計売上高が8億ドル以上と言われている米Dapper Labsとの提携を発表したミクシィ(2121)の動きも見逃せません。

ウェブスリーの盛り上がりで投資も本格化

Web3の盛り上がりへの投資も活発です。gumi(3903)は日本のような規制がないケイマン諸島にファンドを新設し、130億円規模でWeb3事業を手掛けるスタートアップへの投資を始めました。非代替性トークン(NFT)やブロックチェーンを活用したゲーム、仮想空間「メタバース」などが成長するとみています。

注目度が高いWeb3は株式市場でも過熱感が指摘され、まだ成長途上の業界ということで今後の成長を慎重に見ていく必要があるでしょう。けれども、従来型のビジネスを前提とした法規制や税制を変えていかないと、Web3の新しい流れに乗り遅れてしまいます。せっかくWeb3は住んでいる国も、貨幣も、持って生まれた姿にも囚われない、自由な世界なのです。変革の時を大きなチャンスにできる日本企業が生まれることに期待したいと思います。

ポイント!

いかがでしたでしょうか?漫画やゲームなど強いコンテンツを持つ日本企業に追い風となりそうなウェブスリーのご紹介でした!

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前田沙織ファイナンシャルアドバイザー
ファイナンシャルアドバイザーの前田沙織です。 新卒から証券業界でのキャリアを開始し、2019年よりアドバイザーとして独立。様々なお客様のお金の質問や不安に応え、提案しています。 お問合せよりお気軽にご連絡ください。